「没入感」ってなに?言葉の意味からおすすめスポットまでご紹介

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最近、没入感の高いゲームや没入感を味わう、イマーシブ体験といった宣伝をみることが増えてきました。

面白そうだけれど「没入感」とは結局どういう意味なのか、と思ったことがある人はいませんか。

今回は、没入感に浸ることにハマり始めた筆者が、言葉の意味をお伝えするとともに、没入感に浸れるおすすめスポットについてご紹介します。

この記事を読んで、新しい休日の過ごし方を見つけましょう。

そもそも没入感とは

没入感とは、映画やゲーム、小説、テーマパークのアトラクションなど特定の世界に入り込んだ感覚を楽しんでいる感覚のことです。集中や没頭など、似たような意味の言葉もあるので、もう少し詳しく見てみましょう。

没入感とは?読み方、言葉の意味と定義

没入感の読み方は「ぼつにゅうかん」です。辞典※で調べてみると、以下のように記載されていました。

・他のことが気にならなくなるほど、ある対象や状況に意識を集中している感じ

・対象に意識が注がれ他のことが気にならなくなる様子や、その度合いのこと

映画や音楽、ゲームなどで体験する感覚の時に使われることが多く、バーチャルリアリティ(VR)など映像や音声技術の向上により、「没入感が高い」といった表現が2014年頃から頻繁に使われるようになったようです。


英語だと「immersive(イマーシブ)」という言葉で表現されることが多いです。

没入感の言い換え・類義語・使い方

没入には、似たような意味の言葉がたくさんあります。なにが違うのでしょうか。
使い方も合わせて整理してみました。※

類義語意味使い方
没入一つの事に心を打ち込むこと。没頭。この小説は情景描写が細かく、没入感が高い。
没頭一つの事に熱中して他をかえりみないこと。研究に没頭する。
熱中一つの物事に深く心を傾けること。夢中になる。野球の試合観戦に熱中する。
夢中物事に熱中して我を忘れること。正気を失うこと。あのアイドルの応援に夢中だ。

どの言葉も、ある対象に深く入り込み、他のことを忘れてしまうような精神状態のことを示します。

辞典で調べると、熱中の度合いや状態を使い分けて表現されているようですが、明確な定義の違いはないようです。

ただし、次のようなニュアンスで使われていることが多いようです。

・没入→無意識にリラックス状態で入り込んでいる様子

・没頭→意識的に他をシャットダウンして入り込んでいる様子

没入感と臨場感の違い

没入感とセットで使われている言葉に「臨場感」があります。※

臨場感実際その場に身をおいているかのような感じ。臨場感あふれる画面の最新テレビ。

技術の進化によりスピーカーや映像、水しぶきなどの表現が高度になり、実際にそばにあるかのように感じられるのが臨場感です。

音や映像などの臨場感が出せるようになったことで、その世界に入り込んだ気分になりやすく、没入感を演出するために多く使われています。

没入感を高めるのはなぜか|理論・科学的根拠はある?

最新技術が発達してきたからといって、必ず流行るとは限りませんよね。ではなぜ今、多くの人が没入感を求めているのでしょうか?

実は、没入感を高めることは、ストレスの軽減や幸福感にもつながっているそうです。もう少し詳しくご紹介します。

フロー理論|自己意識の薄れ

「フロー状態」という言葉を聞いたことがある人はいますか。最近だと、サッカー漫画「ブルーロック」の中で、自分の技術を最大限引き出すために重要な要素として説明されたことから、小学生でも「フロー」という言葉を知っている人が多いです。

フロー理論とは、ポジティブ心理学を研究しているミハイ・チクセントミハイが提唱したものです。フロー状態とは「時間が経つのを忘れるほど作業に没頭し、他のことが気にならなくなるような状態」のことを指します。

フロー状態になると、次のような感覚になります。


・他のことが気にならない

・自分のことも気にならない

・自分でコントロールしている感覚になる

・時間を忘れる。早く感じたりゆっくり感じたりすること自体を喜びとして感じられる

・内発的な喜びや自己成長を実感できる


没入感が高まると前頭前野の活動が抑制され、自己意識が薄れることが脳科学の研究でも示されています。つまり、自己意識の薄れ(=他のことも、自分のことも気にならない状態)は活動そのものに対する楽しみや達成感が大きくなるのです。

すると、以下のようなメリットがあります。

・集中力が向上する。

・自己効力感が高まる。

・幸福感が持続する。

・ストレスが軽減される。

実は今、一つのことに集中する機会が減っています。

・誰かと話していても、ついスマホを触ってしまう

・電車に乗っていても景色を見ずにスマホばかり

そのような時代に映画やゲームなど特定の世界に完全に集中することは、幸福感を得られ、ストレスが軽減されることを実感できるため「没入感」を求める人が増えているのかもしれませんね。

没入感が活きるシーン・ジャンル別活用例

幸福感にもつながる「没入感」。エンタメはもちろん、ビジネスの世界など様々なシーンで活用されています。

ここでは、没入感が感じられるシーンをジャンル別に紹介していきます。実はあなたも「没入感」をすでに体験したことがあるかもしれませんよ。

ゲームでの没入感

「没入感」という言葉が広く知られるようになったきっかけはゲームだといわれています。

昔は、決められた範囲の正解ルートをたどることができればゲームクリアでした。しかし最近では、ゲームの世界の範囲が広がり、どこまでも移動できるようになったり、正解ルートがなくユーザー独自の楽しみ方ができたりと、映像や音楽も細かくこだわって作られるようになりました。

こうした精巧なゲームの世界で自分の判断で自由に動き回れることは、没入感を高める大きな要因になっています。

読書・小説での没入感

子どもの頃、「ご飯だよ」と家族に声をかけられても、全く気付かず漫画や小説を読み続けた経験がある人もいるのではないでしょうか。筆者もそのタイプで、何度も家族から叱られました。

物語の情景をイメージしたり、登場人物に感情移入したりすることで、まるで現実かのように感じる経験は、まさに没入している状態といえます。

音響・4DXなど映画での没入感

没入感が得られる身近な場所が映画館です。スマホの電源を切るため映画に集中しやすく、さらに音響の良さで没入感が高まりやすいです。

近年の技術発展により、映像が立体的に見える3Dから始まり、最近広まってきた4DXでは座席が映像に合わせて動いたり、風・水・光・香り・煙などの特殊効果があったりすることによって映画の登場人物と同じような体験ができ、その世界に没入できる空間が作られています。

VR・AR・イマーシブ体験での没入感

ヘッドセットを装着して仮想空間に入り込むVRや、スマホカメラをかざして現実世界にCGのキャラクターを出現させられるAR。これらの技術は日々進歩しています。

VRやARを含めた最新技術を活用することで、仮想空間を楽しむだけでなく、これまでハードルが高かった伝統的な美術作品の鑑賞なども新たな客層に受け入れられるようになりました。こうしたイマーシブ体験での没入感を活かした新しいイベントが次々と企画されています。

教育・トレーニング分野での没入感

没入型学習というのを聞いたことがありますか。一般的な学習方法は、主に視覚や聴覚を活用します。そこに没入体験を盛り込み、触覚など五感を使うことで、より高い学習・トレーニング効果が期待できます。また、医療現場や宇宙環境など再現しにくい場面も、仮想空間で行われることが増加中です。

さらに、没入感が高いフロー状態になれば集中力が上がり、パフォーマンスも向上するため、教育やトレーニングで取り入れるケースが増えています。

没入感を高める具体的な方法

ここまでの内容で「没入感って面白そう」「没入感を体験してみたい」と思った人も多いのではないでしょうか。では、実際にどうやって没入感を高められるのでしょうか。

適度な目標設計・現状のスキルとチャレンジとのバランスを取る

自分のレベルにあった目標設定やチャレンジのバランスがうまく取れると、没入感を高めやすくなります。ゲームを始めた時、いきなりボスと戦うことはありませんよね。現状のレベルで倒せる相手を倒しているうちに、段々とレベルアップをしていきゲームの世界に夢中になっていきます。一方で、ボスを倒せるほど強くなった後に最初の敵のエリアに行っても面白くありません。

これはゲームに限ったことではありません。学習でもスポーツでも、現状のスキルに合ったチャレンジのバランスを取れると没入感を高められます。

環境作りと感覚演出をする

没入感のある環境を作るには「空間要素」と「参加要素」が重要です。

空間要素・・・内装や音響などコンセプトが一貫している世界観を作り上げる

参加要素・・・体験者がその場にいると感じられるような五感を刺激する仕掛け

例えば、ハリーポッターのような魔法の世界なら、古き良きイギリスの調度品が飾られ、杖を振ると音や光で反応する体験ができることで、没入感のある環境を作れます。

読者を引き込むストーリーテリングや場面構成

多くの人が引き込まれる没入感のある小説や映画、ゲームは共通してストーリーテリングや場面構成が魅力的です。ストーリーテリングとは、ストーリーを通じて情報を伝え、相手を共感させる手法です。

没入させたい世界観に引き込むために、共感したくなる感情や想像できる描写の細かさ、自然と理解できる場面構成で作られています。

登場人物と一緒に、怪しい扉をあけたり、ドキドキしながら美しい街並みを歩いたりした気持ちになれるのは、ストーリーテリングや場面構成が練られているからです。

没入体験を楽しめるおすすめスポット7選

ここからは、実際に没入体験できるスポットを7つをご紹介します。

イマーシブ・フォートTOKYO(お台場)

日本初の「完全没入型テーマパーク」です。「シャーロックホームズ」や「東京リベンジャーズ卍」「花魁の世界」「今際の国のアリス」などの世界観を楽しめます。

施設内を歩いているだけでも、海外の夜の街を散歩しているような雰囲気を楽しむことができ、映えスポットもたくさんあります。没入体験が気になっている方は一度、訪れてみて欲しい場所です。

イマーシブ・フォート東京丨さぁ、感動の最前列へ
一流の役者が命を吹き込む多彩な登場人物と、圧巻の空間が織りなす世界。同時多発で出来事が動き出し、壮大な物語の中へ没入する濃密なエンターテインメント。その最前列にいるのは、紛れもないあなた。

teamLab/チームラボ

光を駆使した体験型アートミュージアムです。現在、「チームラボボーダレス(麻布台ヒルズ)」「チームラボプラネッツ(豊洲)」の2つがあります。

「チームラボボーダレス(麻布台ヒルズ)」は、順路がなく自由に歩き回って鑑賞することが可能です。自由度の高さに没入感を感じられます。

【公式】チームラボボーダレス, 麻布台ヒルズ, 東京
チームラボボーダレスは、アートコレクティブ・チームラボの境界のないアート群による「地図のないミュージアム」。アートは、部屋から出て移動し、他の作品と関係し、影響を受け合い、他の作品との境界線がなく、時には混ざり合う。そのような作品群による、...

「チームラボプラネッツ(豊洲)」は、水に入ったり、大きなボールの間に入ったりと、全身を使うことで没入感を得られます。

【公式】チームラボプラネッツ TOKYO DMM, 豊洲, 東京
チームラボプラネッツは、アートコレクティブ・チームラボによる水に入るミュージアム。作品は、自分や他者の存在によって変化し、作品の存在は、自分の身体や他者と連続的である。そのような巨大な作品群に、他者と共に、身体ごと没入し、身体で認識し、アー...

どちらもとても魅力的な施設です。あなたは、どちらが好みですか。ぜひ行って確かめてみてください。

西武園ゆうえんち

懐かしのアトラクションを楽しめる西武園ゆうえんち。その中でも特に没入感が高くおすすめなものが2つあります。

1つめは「夕日の丘商店街」です。西武園ゆうえんちリニューアルの目玉となった、昭和レトロな商店街。昭和を知らない筆者も、映画で見たことがある昭和の商店街にタイムスリップした気分になりました。買い食いしながら商店街を歩くもよし、明るい商店街の住人との会話を楽しむもよしのノスタルジックな買い物エリアです。

2つめは「没入型ドラマティック〜豪華列車はミステリーを乗せて〜」です。イマーシブシアターという海外でも人気のエンタメです。ミステリーを見て楽しむだけではなく、物語に観客が巻き込まれていきます。突然登場人物から話しかけられることもあり、毎回異なった没入体験ができます。レストランということで、アフタヌーンティーも楽しめるのも嬉しいです。

アトラクション&イベント | 西武園ゆうえんち
西武園ゆうえんちで楽しめる、たくさんのアトラクションとイベントをご紹介します。

体験型シネマStudioEscape

大阪にある映画体験施設です。この映画の主人公はあなた。スパイや探偵になった気分で謎や暗号を解きながら物語を進めていきます。

映画のセットのような本格的な作り込みに興奮すること間違いありません。ホームページに載っているのは、ほんの一部分。ネタバレ禁止のため、多くは語れませんが想像以上の没入体験ができますよ。各回貸切で楽しむことができ、より没入感を得られます。

スタジオエスケープ:体験型シネマ
体験型シネマとは、テーマパークの楽しさとハリウッド映画さながらの演出に、謎解きゲームの要素が加わった新感覚のエンターティメント。 扉の向こうは映画の世界、主人公はあなた!

リアル脱出ゲーム

没入体験が広く親しまれるようになってきたのは、このリアル脱出ゲームがきっかけでしょう。制限時間内に謎を解いて脱出を目指します。監獄やおもちゃの世界、船の中など様々な世界に没入できます。

たくさんの脱出ゲームの施設がありますが、おすすめは、東京ミステリーサーカス。20分で脱出を目指すものから90分かかるものまで、時間も世界観も様々。気になる世界に訪れて、脱出を目指してみませんか。

TOKYO MYSTERY CIRCUS | 東京ミステリーサーカス
新宿・歌舞伎町で最もリアルな物語体験ができるテーマパーク「東京ミステリーサーカス」のオフィシャルウェブサイト。絶体絶命の危機から脱出する「リアル脱出ゲーム」など様々な体験型ゲーム・イベントが集う

脱出ゲームについてさらに詳しく知りたい方は、前回の記事をご覧ください。

泊まれる演劇

ホテルが運営する、宿泊型のイマーシブシアターです。実際にホテルに宿泊します。ホテルの宿泊者は全員物語の参加者。決められた時間にロビーに集合し、物語が始まります。登場人物と会話をしたり、ホテル内の気になるところを散策したりと、自分の好きな角度から、物語を楽しみます。

物語終了後の深夜には、夜食を食べながら参加者同士で、自分の角度から見た物語の情報を共有し合ったり、フォトスポットで写真を撮ったりと一晩かけて没入体験を楽しめます。参加者の中には、同じ公演を色々な角度から楽しみたいと複数回参加する人も少なくありません。

ホテルの閑散期にのみ開催される期間限定公演のため、チケットも大人気。次の公演が発表されたら、すぐに予約することをおすすめします。

泊まれる演劇
ホテルシーの『ホテルはメディアである』という理念の元、泊まれる演劇では革新的な宿泊体験を提供します。脚本家, アクター, 音楽家, デザイナーなど様々な分野のクリエイターと集合と解散を繰り返し、常に実験的な演目制作をおこないます。

アクティビティ体験

新しいものだけが没入体験ではありません。自然の中に身を置くこともおすすめの没入体験です。自然を楽しむには、経験者のサポートが合ったほうが安心して没入できます。おすすめサイトはアソビューです。

【アソビュー!】休日の便利でお得な遊び予約サイト
レジャー・遊び・体験 スポットを検索・予約できる、日本最大級の遊び予約サイトです。 旅行先での観光 や、週末のデートや こどもとおでかけ 先をお探しなら「アソビュー!」にお任せ。遊園地や水族館などのレジャースポット、日帰り温泉、ラフティング...

自分が行きたい場所や複数のアクティビティを検索できます。インストラクターさんがついてくれるものを選ぶことで、安心して自然の中に没入できます。

筆者がこれまでに体験したのは以下の3つです。

・ダイビング

オプションで写真も撮ってくれたり、魚にエサをあげて手元に集まったりと、インスタ映えにもおすすめでした。3時間程度の短いコースを選びましたが、初めて酸素ボンベを背負う初心者にとっては没入感を楽しむにはちょうど良い時間でした。

・パラグライダー

風の条件が整った日にしかできない貴重な遊びでした。経験者にはご年配の方も多く、話を聞くと、退職をされてから空を飛ぶことを趣味にする方も多いそうです。風を感じながら鳥より高く飛ぶ没入体験は一生忘れられない光景でした。

・SUP

海や川、湖などでサーフボードの上に乗って水上散歩を楽しみます。水に落ちたらどうしよう、と考えていましたが落ちるまでがセットで楽しかったです。水の上に立ってしか見られない景色に心が洗われます。

まとめ|没入感を体験してみよう

ここまで「没入感」について解説してきました。

・没入感とは、他のことが気にならなくなるほど、ある対象や状況に意識を集中している感じのこと

・フロー状態と呼ばれる心理学的な理論とも関連があり、幸福感や集中力の向上につながる

・ゲームや映画、教育やトレーニングなど幅広い分野で活用されている

・五感を使ったり、環境を整えたりすることで、没入感を高められる

・実際に体験できるスポット(映画館、チームラボ、リアル脱出ゲームなど)が増えている

今回は、比較的通年楽しめるものを紹介しましたが、実はアートや商品販売、展示会など期間限定で没入体験ができるものが多いです。

没入感は、日常生活に刺激やリフレッシュを与えてくれるものです。

「最近ちょっと疲れているな」「非日常を味わいたいな」というときに、没入感のある体験を選んでみてはいかがでしょうか。

新しい世界に入り込むことで、きっと心が豊かになり、明日からの活力にもつながるはずです。

※デジタル大辞泉、IT用語辞典バイナリ 引用

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